試験成績書や検査報告書の表をExcelへ移し、照合できる形にしたい
試験成績書PDFの数値を転記せずExcel化する手順
試験成績書や検査報告書のPDFから測定値をExcelへ移し、試料名、単位、条件、判定、元ページを失わず照合するための実務手順です。
測定値だけを抜き出すと、後で使えなくなる
試験成績書や検査報告書では、数値だけでなく「どの試料を、どの条件で、どの単位で測ったか」が結果の一部です。PDFから数値列だけをExcelへ貼り付けると、転記自体は早くても、照合や再集計の段階で意味を失います。
最初に、Excelへ残す列を決めます。
- 試料名、製造番号、ロット番号
- 試験項目
- 測定値
- 単位
- 規格値または許容範囲
- 判定
- 試験条件
- 元PDFのページ
PDF上では表の外側に置かれている条件や単位も、Excelでは各行から追える形にします。
変換対象を3種類に分ける
1. 固定情報
報告書番号、発行日、依頼元、試料名など、文書全体またはページ全体に共通する情報です。表のセルに入っていなくても、結果を特定するために必要です。
2. 表形式の測定結果
試験項目、規格、結果、判定など、行と列の対応が必要な情報です。ここは単なる文字列ではなく、セルの位置関係を保って取り出します。
3. 注記と例外
検出限界未満、参考値、再試験、測定不能といった注記です。空欄やゼロへ置き換えると意味が変わります。数値列とは別に、原文を残す列を用意します。
Excel化の手順
手順1:対象ページと表を固定する
目次や添付資料を含むPDFでは、似た表が複数登場します。変換前にページ番号と表題を一覧にし、対象範囲を固定します。同じ試験項目でも、試料や条件が違えば別の表として扱います。
手順2:見出しの階層を確認する
上段に試験区分、下段に項目名がある表では、上段の結合セルが列の意味を決めています。結合を解除する前に、親見出しを各列へ引き継ぎます。
縦方向に結合された試料名も同様です。Excelで空欄になった行へ上の値を機械的にコピーする前に、本当に同じ試料が続いているかを確認します。
手順3:文字列のまま一度保存する
<0.01、N.D.、—、合格などは、そのままでは数値型になりません。しかし、先に記号を削除すると情報を失います。
最初のシートには原文を残し、集計用のシートで数値化ルールを適用します。原文列と加工列を分ければ、変換方法を後から検証できます。
手順4:ページをまたぐ表を判定する
続き表では、次ページの先頭に列見出しが再掲されます。次の条件が揃っているか確認します。
- 表題または表番号が同じ
- 列数と列見出しが同じ
- 前ページの末尾と次ページの先頭が連続している
- 別の試料・別条件へ切り替わっていない
揃わない場合は、無理に1表へまとめず、別シートとして残します。
手順5:元PDFと照合する
照合は、見やすい値だけを選ばず、次を含めて行います。
- 最初と最後のデータ行
- 小数点以下の桁が多い値
0と英字のOを含む識別子- 負数、未満記号、範囲表記
- 注記記号が付いた値
- ページ境界の前後
表に合計がある場合は再計算します。ただし、合計一致だけを正しさの証明にはしません。
原本と加工結果を分けて保存する
Excelブックは、次の3シートに分けると追跡しやすくなります。
| シート | 内容 |
|---|---|
| 原文 | PDFから取り出した文字列と表を、加工せず保存 |
| 整形 | 列名の統一、単位の分離、数値型への変換 |
| 出所 | 元ファイル名、対象ページ、変換日、確認者、注意点 |
元PDFはExcelへ埋め込まず、同じ管理番号で対応づけます。更新版の報告書が来た場合も、どの版から作った表かを区別できます。
自動化してよい工程、判断を残す工程
行・列の抽出、繰り返し見出しの候補検出、Excel書き出しは自動化できます。一方、別表を結合してよいか、未満記号をどう集計するか、参考値を正式値と同じ列へ入れるかは、利用目的に応じた判断が必要です。
PDFIntactの無料診断では、原本を送信せずに、表として取り出せるページを確認できます。変換後も、元PDFと照合して利用してください。