2段組論文をWordへ移すと左右段が混ざる問題を避けたい
2段組の論文PDFをWordへ移すときに読み順を崩さない方法
2段組論文をコピーしたときに左右の段が混ざる理由と、見出し、本文、脚注、図表キャプションを正しい読み順でWordへ移す確認手順を説明します。
2段組の「見た目」と「文字の順番」は別物
論文PDFを画面で読むと、左段の上から下へ進み、次に右段へ移るのが自然です。しかしPDF内部では、文字がその順番で保存されているとは限りません。
文字はページ上の座標として配置されていることがあり、コピー時の並びは作成ソフトや変換方法に左右されます。そのため、次のような崩れが起きます。
- 左段の1行目と右段の1行目が交互に並ぶ
- 本文の途中へ図表キャプションが入る
- ページ番号やヘッダーが段落として混ざる
- 脚注が本文より先に入る
- ハイフンで分割された単語がそのまま残る
Wordへ移す前に、文字の有無だけでなく読み順を確認する必要があります。
変換前にページを分類する
論文全体が同じレイアウトとは限りません。最初に、ページごとの構成を分けます。
| ページの型 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1段 | 表題、要旨 | 全幅見出しの後で2段へ切り替わる場合がある |
| 2段 | 本文 | 左段から右段への境界を判定する |
| 2段+全幅図表 | 結果、考察 | 図表の前後で本文の続き方を確認する |
| 脚注あり | 各ページ下部 | 本文とは別の領域として扱う |
| 参考文献 | 文末 | 段落単位ではなく1文献単位を保つ |
表題ページだけを見て変換条件を決めると、本文ページで崩れることがあります。中央付近と最終ページも確認します。
正しい読み順へ戻す手順
1. ページ上の領域を分ける
ページを、全幅領域、左段、右段、ヘッダー、フッター、脚注に分けます。中央線だけで左右を切ると、両段をまたぐ見出しや図表を半分にしてしまいます。
まず全幅要素を見つけ、その上下にある2段領域を別々に処理します。
2. 段の中を上から下へ並べる
左段の要素を縦位置で並べ、その後に右段を並べます。ただし、欄外のページ番号や柱を本文に入れないようにします。
段落の開始位置、行間、見出しの大きさも手掛かりになります。単純に座標だけで全要素を並べると、近い位置の図表や脚注が混ざります。
3. 図表とキャプションをひとまとまりにする
図や表が両段をまたぐ場合、本文はその前で一度切れ、図表の後から再開します。キャプションは本文へ混ぜず、図表と一緒に置きます。
Wordで図表を再利用しない場合でも、キャプションと参照番号は残します。本文中の「図2に示す」と対応できなくなるためです。
4. 脚注を本文から分離する
脚注はページ下部にあるため、座標順では右段の本文の後に続いて見えます。Wordへ移す際は脚注として登録するか、少なくとも本文と区別できる見出しを付けます。
本文中の参照記号と脚注番号が対応しているかも確認します。
5. 行末の分割を直す
段幅が狭い論文では、英単語が行末でハイフン分割されます。すべてのハイフンを削除すると、本来ハイフンを含む用語まで変わるため、次の条件を見ます。
- ハイフンが行末にある
- 次行が小文字から始まる
- 辞書上または本文中で1語として使われている
判断できないものは原文を残し、後で検索・置換の候補にします。
Wordに移した後の確認箇所
次の境界を重点的に読み返します。
- 要旨から本文へ切り替わる箇所
- 各ページの左段末尾から右段先頭
- ページ末尾から次ページ先頭
- 全幅の図表の前後
- 脚注記号と脚注本文
- 参考文献の改行位置
内容を最初から最後まで読む前に、境界だけを先に確認すると、読み順の大きな崩れを早く見つけられます。
WordとMarkdownのどちらを選ぶか
Wordは、本文、見出し、表、数式を読み順に並べ、編集やコメントを加えたい場合に向きます。Markdownは、文章の差分を取りたい場合や、別の処理へ渡したい場合に向きます。
元の2段レイアウトそのものを再現することと、内容を正しい順番で取り出すことは別の目的です。編集用なら、1段の文書へ戻して読み順を明確にする方が扱いやすくなります。
PDFIntactの無料診断では、PDFを送信せずに、本文や表として取り出せる内容を確認できます。2段組が正しく分かれるか、複数のページで確認してから変換します。